ZUNTATAメンバーズコラム vol.7 (特別寄稿)

ZUNTATA コラボ SUPERSWEEP - 細江慎治 (コンポーザー)

こんにちは、株式会社スーパースィープ代表の細江慎治です。

え? タイトーさんとどんな関係が? 随分前の話ですが、自分の勤めていた職場とズンタタさんの職場は近所だったとか、当時住んでいた場所もさほど遠くは無かったということで、非常に大雑把ではありますが御近所付き合いの仲とも言えるかもしれません。

そしてなぜスーパースィープがこんなところに出てくるのかというと、今回はタイトーさんのCDをいくつかリリースさせていただく運びとなり、アレンジに参加するという事もあって、ここ Z-Field におじゃまする事になりました。

え? CDが出るの? どんな?

● ナイトストライカー & サイバリオン パーフェクトBOX

今日の時点で中身は「鋭意製作中」です。弊社のCDプロデューサーが寝る間も惜しんで作業に取り組んでいる最中です。

ナイトストライカー、サイバリオンと言えばアバウト20年級のオールドゲーム、それを新たにCD化なんて酔興な企画。 でも我々にとっては、ちゃんとまとまった形で残しておきたい一品という事で特にプロデューサーが力を入れてる一品です。(の予定です…) 鋭意製作中故に全貌を明らかには出来ませんが、貴重な一品になってくれるに違いありません。

● 『アルカノイドDS オーディオプラネット』

ズンタタ全面プロデュースのアルカノイドDSのサントラ、蓋をあけると懐かしい曲のアレンジも!? ある意味このCDはアレンジ集なのかもしれません。

途中で知ったことなのですが別の仕事で一緒になった事のあるRyu☆さんも参加しています。 実は現状ではすべてを聞いていないので、これまた「鋭意製作中」という事になります。

実はこのタイトルではストリーム再生も採用しているので、高音質なBGMをお聴かせする事が出来るので価値ある一品になるはずです。 本作品には僕も参加させて頂いてます。 「え? それはどうなの?」 と思う方もいらっしゃるかと思いますが、トリビュートと考えて頂ければ嬉しいです。 どちらかというと当時気になってた曲を色々とアレンジしたいです。

● 『ダライアス リミックス』

という事で上に続き、色々やってみることにしました。 これまた「鋭意製作中」なんですが、やってみたい事が増えすぎて良い意味で迷走してます。 アレンジって賛否両論が沢山あって、原作イメージ通りなのか否か、作者本人のセルフなのか否か。 答えは一つにまとまりません。 じゃー 1つのタイトルでも沢山のアレンジアルバムを作ればいいのかな? という事で、また別の機会に別のダライアスアルバムが出てくれればそれはそれで楽しいかなと。 そんな気にさせてくれるダライアスの原作パワーは凄いなと思います。

● 『電車で電車でGO!GO!GO! れぼりゅ~しょん』

電GOのアルバム再びっ! これを初めて聞いたときは「やられた」と思ったもんです。 キャッチー & ポップ。 ついつい口にしてしまう 「電車」 連呼。 そして「鋭意製作中」かと思います。 ここまでくると「鋭意製作中レベル」もMAXに近くて、どんなアルバムとして世に現れるかわかりません。 いや…概要を知っていても、お話できる段階になっていないかと思います。

新しいボーカルソングが果たしてどんな物になってくるのか楽しみです。

実は僕も元「鉄っちゃん」です。 といっても写真家の家庭だったので、小さな頃から写真を撮らされ現像させられてたので、一時期は電車がターゲットになってたという薄い属性です。 次第に自分から電車属性も抜け、うん十年たった今。 速い飛行機に乗るより、ゆっくりした乗り物がいいかな?(これは老化?) という落ち着きが出てきて、電車熱も復活してきました。 鉄っちゃんには程遠いですが… 「TGV乗ってみたいなー」とか…(速い乗り物じゃねーか) おっと…

現状でお伝え出来るCDの情報はこの辺でおしまいです。 また、お伝え出来る機会があるかと思いますので期待してて下さい。 というわけでこの辺で少しはコラムっぽい事でも書こうかと思います。

サウンドの昨今

● 20年前

業界歴20うん年も過ぎてしまいましたが、最近の携帯機のおかげで製作スタイルがなぜか逆戻り。 意外と制作手法もさほど変わることもなく若干便利になった程度。 一番変わったのは製作期間が極端に短くなったり、一時期は数十台のシンセサイザーに囲まれて作っていたのに、最近になってPC 1台で作れるようになったところでしょうか?

ある意味コストダウン率は高いですよね。 20年前は基本的にワークステーションを使って作業してたので、その時点で数百万。 今は10万円切るPCでも当時のワークステーションなんて比べ物にならない速度で動いてくれる。 いい時代です。

いい時代ではありますが、当時の方が面白かったのかな? なんて良く思うようになりました。 なぜでしょうか? 使いにくいし遅いのに。 単に懐かしいだけ? 音一つ出すだけに苦労した世代から現代の若者を見ると「今の若いもんは」って言葉が出てきちゃうのはいつの時代も一緒なんでしょうね。

ワークステーションのラインエディター(スクリーンエディターじゃない) で音符を打ち、アセンブルをし、リンクをしてROMを焼いて、基板をリセットし、指定の番号を呼び出して初めて音が出る。 今ならプレイボタン押して0秒で終わる事が数分かかる時代。 ROMも性能が悪いROMは焼くのに倍時間がかかったり、赤く光って死んでたり、そもそもリンクし忘れたり、一筋縄ではいかないどころじゃなかった。 順次ROMは紫外線を当てて消さないといけないので、途中でROMが足りなくなる事もしばしば。 けっこー凄いでしょ。

● 現代の問題

次世代機も出揃ってしばらくたちました。 サウンドの人には多チャンネルという新たな壁が生まれました。 一番問題になるのはプレイバック環境、いわゆる制作途上での試し聴きをする段階で、同じチャンネル数のスピーカーをセットしなければならないところが一番問題になってます。

そりゃそうです、いままで2チャンネルが全盛だったのに、5.1チャンネルになったら面積的に置き場もないし、それぞれに部屋を作るぐらいしかない。 最近になって多チャンネルモニターを設置したスタジオは増えてきたけどまだまだ十分じゃないし、スタジオを借りるなんて予算的に厳しい場合も多々ある。

そもそもユーザーのみなさんが多チャンネルのシステムを持っているかも問題だし、実はメーカー毎に、機種毎にシステムの挙動がぜんぜん違うんです。 正直なにを基準に考えればいいのかみんなが模索している最中というところでしょうか? まだまだ家庭用多チャンネルアンプを作ってるメーカーも模索中なので「これだっ!」っていう結論はまだまだ出ないんでしょうね。 それ以前に定着するのかどうかすら解らない。 難しいですねぇ。

世間に置いてかれないようにまだまだ勉強が欠かせません。

Profile

細江慎治 (Shinji Hosoe)

株式会社ナムコ (現:株式会社バンダイナムコ)、株式会社アリカを経て2000年に株式会社スーパースィープを設立、代表取締役社長に就任。作曲からその他諸々音にまつわる作業をメインに活動中。

http://sweep.co.jp