ダライアスバースト ZUNTATAインタビュー


世界のポップカルチャーを紹介する海外サイト"Original Sound Version"に掲載された、ダライアスバーストに関するZUNTATAインタビュー記事の日本語訳版を掲載します!

オリジナル記事(英語)はこちらです。

「Original Sound Version」へ
※リンク先はOriginal Sound Version.様のサイトとなります。
取材担当:Moonraiser Media LLC Carl Larson(カール・ラーソン)
写真提供と翻訳:株式会社タイトー スコット・ブロー

ダライアスバースト サウンドチーム「ZUNTATA」とのインタビュー

PSP用シューティングゲーム「ダライアスバースト」が日本で急速接近中!

ダライアスは宇宙の深淵さと海洋の広大さを合体させ、馴染みのある海中生物を危険なメカノイドへと変化させたシリーズです。

我々はこのゲームを担当する作曲家たちに連絡を取り、取材質問の翻訳のためにタイトーのスタッフのご協力を頂きました。

取材を通じてよく分かったのはシリーズの独特な音源ルーツを守りながら新鮮で一般のファンに受け入れられる曲を作るのは至難の業であるということでした。

ZUNTATAのチームがどの様にしてこういった課題に立ち向かったか、そしてリリース間近のダライアスバーストの制作秘話が今回のインタビューで明らかになる!?

サウンドディレクター:石川勝久

OSV:まずは取材に応えて頂き、誠にありがとうございました。最初にタイトーから3人のお客様を紹介させて頂きます。サウンドディレクターの石川勝久氏、そしてコンポーザーの土屋昇平氏と小塩広和氏です。本日は皆様とお話しが出来て光栄です。
石川さんはサウンドディレクターとしてどのようなサウンドデザインや概念をチームの目標に設定しましたか?

石川:私が思うに、ダライアスシリーズのサウンドは毎回音楽的アプローチを大きく変えており、それが一つの特徴だと思っています。
つまり「ダライアスのサウンドとはこうでなくてはいけない」という音楽的な縛りは存在しないと思っているので、コンポーザーに対してはできるだけ音楽的に自由に発想してほしいと指示しました。
ただ自由に曲を作っていっても統一感のないものがバラバラに上がってきてしまうので、ダライアスシリーズ全体から感じるイメージを「宇宙の深遠さ」「生命」「混沌」のような漠然としてキーワードにして抽出し、それを発想の源として各コンポーザーに提示し作曲してもらいました。
結果として複数のコンポーザーで制作したにも関わらず、統一された世界観を確立することができたと思います。

OSV:石川さんの元に3名のコンポーザーが参加していますたが、作業はどうやって分担されたのでしょうか。決まった作業を一人一人へ割り振ったのでしょうか? それともみんなに複数の曲を提出してもらって、あとでどれを採用するのかを決めたのでしょうか?

石川:今回のプロジェクトでは最初にゲームプロデューサーから、現在のZUNTATAのサウンドのカラーをメインに出した、新しいものにしてほしいという要望がありました。
そこで現ZUNTATAのメンバーである土屋と小塩にデモ曲を制作してもらい、プロジェクト内でコンペをしながら曲を決定していきました。
今回、小倉氏はメインではなく、一人のコンポーザーとしてチームに参加していただいていますが、歴代シリーズのコンポーザーである小倉氏に参加していただいたことで、我々にいい意味でのプレッシャーがかかり、音楽的にも精神的にも非常に良い影響を与えてくれたと思っています。

OSV:ダライアスバーストを遊ぶユーザーさんに、どのような雰囲気や感情を体験させたいですか?

石川:今回のサウンドはこれまでのシリーズをプレイしてきた方よりも、初めてダライアスに触れる方のほうが自然に違和感なく受け止められるかもしれません。
ただ、ダライアスバーストのサウンドの根底には、これまで小倉氏が確立してきた「ダライアスサウンドの遺伝子」が確実に継承されていると思いますので、これまでのシリーズのファンの心にも必ず響いてくれると信じております。

OSV:ダライアスバーストにはダライアス歴代の曲がアレンジ版として登場するのでしょうか? それとも新しい曲ばかりなのでしょうか?

石川:それは秘密です。 ・・・という答えは半分正解を言っているようなものですね(笑)

コンポーザー:土屋昇平

OSV:土屋さんは今まで色々なジャンルでゲーム音楽を担当されていますが、ダライアスバーストのようなシューティングゲームの作曲の場合、シューティングならではの取り組み方が必要なのでしょうか?

土屋:ゲーム中の曲の大半が戦闘のための曲というのは、シューティングゲームならではだと思います。表層だけ捉えれば敵を撃って倒すだけのゲームなのですが、そこに潜む見えない感覚を表現し続けなければならない、特殊なジャンルだと感じました。ですが、私のゲームサウンドデザインへの取り組み方は、どんなジャンルのゲームでもあまり変わりません。心情、色み、空間、グルーヴ、匂い、コンセプト、味、開発陣の想い、その他ゲームに存在する色々な表現が、私にアイデアを与えてくれます。私はそれらを感じとって、音を紡いでいきます。もちろん、音の演出のためには全スタッフの協力が欠かせませんので、常に開発メンバーに感謝の心を持って取り組んでいます。ちなみに私は、自分をゲーム音楽の作曲家だと思っていません。ゲームサウンドの演出家だと思っています。演出するための音素材をたまたま自分で制作しているにすぎません。

OSV:ダライアスシリーズは歴史が長いですが、続編用の曲を生み出すのは新作を生み出すより大変な作業なのでしょうか? また、前作のスタイルに合うような音楽を作るプレッシャーはあったのでしょうか?

土屋:予想していたより、遥かにプレッシャーを感じました。私が考えるよりも遥かにダライアスを愛してやまない方々(開発陣、ファン)が多い事に気付いたからです。周りの方々の想いが連なるにつれ、思い出が磨かれるに連れ、私の心は海の底に沈んでいきました。世界観が確立されているものの続編を創るのは大変なことです。世界中の同様な立場で続編に携わっているクリエーターを心から尊敬します。また、ダライアスらしい音という言葉を何度か耳にしましたが、ダライアスにおけるサウンドスタイルは、プロセスのみに存在し、結果には存在しないと解釈しています。それはダライアスの各シリーズの音を聴きこんだ結果、そう感じたからです。ですので、プロセスだけを意識して制作いたしました。そして、そのプロセスを言葉にするのは不可能です。

OSV:ダライアスバーストの作曲期間は修正や作り直しで長期に渡りましたか? それとも割とスムーズに、出来上がった曲の採用が決定されましたか?

土屋:全くスムーズには行きませんでした。非常に長くかかっています。今まで係わったゲームの中でも特に長く感じています。それは、やはり色んな方の想いがありますから、制作スタッフの一人たりとも首を横に振らせたくなかったためです。また、前作から年月がかなり経っていることも要因でした。素敵な思い出は、必ず現実より美しくなります。そこに勝負を挑まなければならなかったので、端的に言うと地獄でした。しかし、私にとって重要なゲームの1つになった事は間違いありません。

コンポーザー:小塩広和

OSV:小塩さんは最近スペースインベーダーやアルカノイドのリメイク版にも携わったと思いますが、その経験はダライアスバーストの作曲の際、どういう風に取り組めばいいかの参考になりましたか?

小塩:確かにスペースインベーダーやアルカノイドといったタイトーの伝統あるタイトルのリメイクに参加したことは私にとって、とても良い経験となりました。
しかしながら今回のダライアスバーストはそれらのリメイクタイトルとは大きく異なったタイトルだと感じました。
例えばスペースインベーダーエクストリームはオリジナルのスペースインベーダーを踏襲しつつ全く新しいゲームにすることを目標にしていましたが、ダライアスバーストはそれに加え、ダライアスでなければ成立し得ないサウンドを求められたように思います。
最初はこの点を理解するのにかなりの時間を要してしまいましたが、結果的にはとても貴重で良い経験になったと思います。

OSV:小倉さん、土屋さんと緊密にチームで作曲に取り組んだのでしょうか? それとも各自がそれぞれの曲を担当して、単独で作業を行ったのでしょうか?

小塩:さっきも少し述べましたが開発の当初はともかく、ダライアスらしいサウンドを模索することに精一杯でしたし、それは土屋も同様だったと思います。お互いにどういうサウンドがダライアスバーストに適合するのか、夜遅くまで話し合ったこともあります。
そういうわけで最初のうちは特に担当を決めず、出来上がった曲に対してサウンドディレクターである石川が割り当てを決めていくというスタイルを採りました。後半は残りの場面に対しそれぞれが担当を決めて作曲をしていきました。
小倉さんに関しては当初から担当場面が決定していたので、別ラインで作曲をしてもらいました。そういうわけで小倉さんは我々の議論には参加していないのですが、結果的に最もダライアスらしい曲であったと思います。
ダライアスの歴史を作ってきた人であることを改めて実感しました。

OSV:スペースインベーダーエクストリーム2のDISCONTINENTALイベントでタイトーの名曲をライブで演奏してどういう気分だったでしょうか? 将来的にダライアスバーストの曲を含むZUNTATAライブは予定されていますか?

小塩:DISCONTINENTALというのは通常のゲームミュージックのコンサートと異なり完全にクラブスタイルのイベントでした。そういうわけで、お客さんにはゲームミュージックフリークだけではなくクラブミュージックが好きな方が多かったように思います。
そのような環境でタイトーの伝統的なゲームミュージックが受け入れられるのか、とても不安でした。そのため選曲にも気を遣いましたし、一部の曲はクラブ向けにリアレンジを行いました。結果的に多くの曲で盛り上がることが出来ました。これはとても嬉しかったと同時にゲームミュージックの新しい方向性を予感させる出来事であったと思います。

今後のLIVEについて、詳しいことはシークレットなのですがダライアスバーストの発売に合わせて何かやるかもしれません。これについては続報を楽しみにしてください。

OSV:お忙しい中、ご回答頂き誠にありがとうございました。大変楽しかったです。1月に発売される予定のサウンドトラックCDを楽しみにしています!

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