ZUNTATAクリエイターズ インタビュー:小塩広和氏

第3回

小塩広和氏のインタビュー最終回は、小塩氏の音楽についての考えやルーツについて聞いた。 コンポーザーとエンジニアという両方の顔を持つ氏のサウンドに対する姿勢などについても非常に興味深い話を聞くことが出来た。

予想以上に3Dサウンドは効果的でした

● タイトーではゲームから着信メロディまで数多くの携帯電話用コンテンツを制作していますが、タイトーサウンドチームはこれに対してどのように関わっているんですか?

基本的にはサウンドチームではゲームの音の制作がメインですね。
先程お話ししたように単に曲や効果音を作るだけではなく3Dサウンドなど携帯の能力を最大限に生かした積極的な音作りを行っています。
また長年のノウハウを生かして携帯の音源に特化した細やかな調整も行っています。先程お話ししたひぐらしの鳴き声なんか良い例ですね。
おかげさまでタイトーの携帯ゲームの音は結構評判が良いという噂を聞きますよ。自分でいうのもなんですが(笑)
着信メロディに関しては先程お話しした「大人ニ聞コエナイ?着信音」のような面白い音コンテンツの企画と開発を中心に行っています。

● 小塩さんのサウンド開発環境を教えてください。

ソフトはSteinberg Cubase SX2とYAMAHA SOL2、Sony SoundForge8をメインに使っています。この3つは無いと仕事になりません(笑) 音源はシンセマニアなんで古今東西色々使っています。
ハードではKORG TRITON-RACK、Roland SC-8850、E-MU Planet PHATTは会社の倉庫にあったものを掘り出してきました。ソフトシンセではNI FM7、NI Pro-53、NI Kontakt2、NI Absynth4ってNIばっかですね(笑) 他にはSteinberg Hypersonic2、LinPlug Albino3はいろんな音が揃っているので重宝しています。後、CamelAudio Cameleon5000は私の一押しですね。加算合成の淡い音が大好きなんです。でもGoogleで日本語でサーチしてみると2件しかヒットしなかったので、日本ではメジャーじゃないんですかね。
他に挙げておきたいのは 「Sound Browser」というオーディオファイルの管理・プレビューツールです。これ、フリーウェアなんですがとても使い勝手が良くできていて、効果音制作に重宝してますよ。

● 小塩さんは作曲からサウンドデザインまで幅広く手がけられていますが、自分ではどちらが合っていると思いますか?

どちらがあっているというか・・・作曲もサウンドデザインの一部だと考えています。
確かに曲というのはサウンドの中では大きなウェイトを占めますし、脚光を浴びやすいです。しかし、ゲームというのは曲だけでは成立しません。曲がメインの音ゲーだって注意して聞いてみると色々な効果音が鳴っているのがわかります。
私の信条として、「担当したゲームのサウンドには全て責任を持ちたい」といういうことがあるんです。だから曲にも責任を持ちたいし、効果音にも責任を持ちたい。わがままなんですよ(笑)
要するにそれがトータルサウンドデザインっていうことなんですが、責任を持つ以上ある程度は手を出さないと気が済まないところがあって、それが作曲に繋がっているんですね。
そう言う意味ではトータルサウンドデザインありきでその一部として作曲があると。
だって、せっかく頑張って作曲したのに効果音が鳴りまくっていて曲が聞こえない・・・なんて嫌でしょう?(笑)

● 小塩さんが普段聞く音楽ジャンルや好きなアーティストがあれば教えてください。

音楽はいろいろ聴いていますよ。
試しに今PCに入っている音楽を調べてみると、テクノ・ハウス系30%、ゲーム・アニメサントラ関連30%、ポップス系20%、ジャズ系10%、ロック系10%といったところでしょうか。いろいろと言いながら結構打ち込み系よりですね(笑) 好きなアーティストを挙げだしたらきりがないですが、昔から好きなのはYMO(坂本龍一、高橋幸宏、細野晴臣)、Logic SYSTEM(松武秀樹)、喜多郎です。
最近ではFPM(Fantastic Plastic Machine )、Four Playは私のハッピーマナーブックの時に随分聞きました。
後、意外なところで、徳永英明です。去年(2006年)の紅白では思わず泣きそうになりましたよ。

● もっとも強く影響を受けたと思われる音楽は?

それは喜多郎ですね。断言できます(笑)
中学生の頃に母親がシルクロードのサントラを買ってきて聞かせてくれて、そこで初めてシンセサイザーの存在を知って衝撃を受けました。それからシンセ道に入り込んで今に至るわけです。
まだまだ未熟で、シンセサイザーで喜多郎のような純粋で綺麗な音楽を奏でるという境地には至らないですが。

● どういう経緯でタイトーサウンドチームに?

もともとゲームが好きだったので、大学で学んだサウンドデザインをどうしてもゲームに生かしたかったんですよ。
だから、ゲーム会社を中心に就活してました。
タイトーの面接でそういうサウンドデザインをやりたいんだみたいなことを話したら、Mar.さんにエラく食いつかれて(笑) 思えばその時にここに来る運命が決まったのかもしれないですね。

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● 今後どういうサウンドを作っていきたいと思っていますか?

そうですね・・・一言で言うならば「気持ちいいサウンド」です。
一口に気持ちいいと言ってもゲームによって気持ちいいポイントが違うので難しいところなのですが、例えばアクションであったらキャラの動きとサウンドが一致するととても気持ちいいですよね。
また「私のハッピーマナーブック」のようなものに対しては、長くやっていても疲れないようなリラックス系のサウンドが良いですね。
逆に、「ひぐらしのなく頃に」のようなゲームではホラー系のサウンドでとことん怖がって楽しんで頂く、と。
そういった「ゲームをやった人の心が少しでもプラスに動くサウンド」をいつも目標にしています。
なんだかとてつもない目標ですね(笑)
後、今はゲーム機の性能が上がった分サウンドの表現も随分広がりましたので、普通に作るだけではなく様々な技術を取り入れていきたいという野望もあります。

●これをご覧の皆さんにメッセージを。

私のような未熟者のつたない長話を読んで頂いてありがとうございます。
一口にサウンドと言っても色々なことがあるんだなぁと、普段あんまり表に出ないサウンドの広大な世界を少しでも感じて頂ければ嬉しいです。
これからもタイトーのサウンドを楽しみにして下さいね。
あ、そうだ。ファンレター下さい(笑)

● 来るといいですねえ(笑) 今日はありがとうございました。


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